【交通事故コラム】後遺障害にまつわる法律問題②
2024-06-24
カテゴリ:交通事故
他覚所見のない後遺症の後遺障害認定
後遺障害の認定は、客観的な医学検査・医学所見に基づき認定されます。
例えば、首を骨折して脊髄損傷により半身麻痺となった、脳挫傷により高次脳機能障害となった、肩関節を骨折して腕が上がらなくなった、歯が欠損した等、医学検査や医学所見によって後遺症の内容・程度が客観的に示され、等級に応じた後遺障害が認定されることになります。
これに対して、頸椎捻挫や外傷性頸部症候群などと診断される頸部ムチ打ち症、腰部や肩部の捻挫、打撲傷、神経異常を伴わない難聴、脳挫傷を伴わないうつ病やPTSD等の精神障害は、客観的な医学検査・医学所見による診断が困難であることから、「他覚所見のない後遺症」と言われます。
「他覚所見のない後遺症」は、その内容や症状の程度によって第14級の後遺障害として認定されることがあります。具体的には、症状の内容、症状の一貫性、治療期間や治療日数、症状の改善の有無・程度、症状を裏付ける何かしら医学所見の有無、既往症の有無、交通事故の状況や受傷の機序など、あらゆる事情を考慮して、総合的に判断されています。
「他覚所見のない後遺症」の認定方法は上記のとおりですが、客観的な医学所見がないために、その判断は非常に難しいものとなっています。難しい判断を求められることから、初回の判断では後遺障害とは認定されないことも多く、異議申立ての制度を利用する場合も少なくありません。
後遺症の認定について見通しを立てるためには、ある程度の経験が必要となります。また、症状に応じて必要な診断書が異なります。後遺症が絡む交通事故については、経験豊富な弁護士に対応を依頼することをおすすめします。